独占取材 「村上春樹ライブラリー」






TBS NEWS DIG Powered by JNNさんが、2021-04-08 16:07:15に公開した『独占取材 「村上春樹ライブラリー」』は、動画ニュースnetがYoutubeから厳選して紹介している動画ニュースです。

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☆タイトル:独占取材 「村上春樹ライブラリー」

☆投稿者:TBS NEWS DIG Powered by JNN

☆公開日:2021-04-08 16:07:15

☆視聴時間:13:15

☆視聴回数:88805



早稲田大学にできた「村上春樹ライブラリー」。作家・村上春樹さんが母校の早稲田大学に直筆の原稿などを寄贈したいということで生まれたこの図書館。手がけたのは建築家の隈研吾さんです。「村上ワールド」をどのように形にしたのか。お話を聞いてきました。

 学生が行き交うキャンパスで、その建物は異質な存在感を放っていました。真っ白な壁に、一本一本連なった木材が流れるようなカーブを描いています。木のトンネルをくぐり中に入ると・・・吹き抜けの空間に、壁一面大きな本棚が。見上げると、まるで本棚のトンネルのよう。

 「下から木が上がってふわーっと枝になって、ちょうど木の樹冠みたいな感じ」(建築家 隈研吾さん)

 4月、早稲田大学に完成した「村上春樹ライブラリー」。設計したのは、国立競技場や高輪ゲートウェイ駅など、木材を多く使った建築で知られる隈研吾さんです。

 「大学のキャンパスの中に何かそれとは別の異空間をはめ込めたら良いなと思ったんですよね」(建築家 隈研吾さん)

 工事が始まったのは2020年の夏。研究室などが入っていた建物を改修する形で始まりました。

 「こんにちは。よろしくお願いします」(建築家 隈研吾さん)

 かねてから交流があった村上さん本人から設計を依頼された隈さん。目指すのは、村上作品の世界観を再現した図書館です。

 「いろいろな作家のライブラリー、ミュージアムは世界中にあるけれど、村上さんらしい生きた感じというか生活に近いんだけど、生活とちょこっとだけ数ミリだけ生活から浮いた別世界みたいな感じがここでは出せそうな。ゼロから作るよりも改修のほうが生きた感じ、生活感がだせるので」(建築家 隈研吾さん)

 早稲田大学を卒業後、『風の歌を聴け』でデビューした村上さん。アメリカ文学の影響を受けたドライな文体で「孤独感」や「喪失感」を巧みに描写し、人間の内に潜む「悪」や「暴力」の本質に迫ろうとする作品を発表してきました。作品は50以上の言語に翻訳され、海外でも高い評価を得ています。

 早稲田大学に図書館を作る。それは村上さんの希望でもありました。

 「僕はもうかれこれ40年近くものを書いてきまして、生原稿とか資料とか書簡とか関連記事とか、そういうものがかなり数多くたまっています。早稲田大学がこのような場所を作って、僕関連のアーカイブの管理を引き受けてくださることになり、それは僕にとってすごくありがたいことです」(村上春樹さん 2018年11月会見より)

 隈さんは、村上さんの作品で感じられる現実世界から突然、別世界に入り込むような体験を表現したいと考えていました。

 「実はこのライブラリーの基本的な考え方は、トンネルっていう考え方で、村上さんの作品を空間的に分析するとトンネル構造の作品が多いなと思って。なんでもない穴をぽっと入ると違う世界がそこに開けているみたいな」(建築家 隈研吾さん)

 別世界に入るためのトンネル。隈さんは木材を使うことにこだわりました。

 「大学のキャンパスにしろ都市全体にしろ、今や東京はコンクリートで出来上がっているわけですよね。そのコンクリートというのは、ある意味人間にすごくストレスを与える工業化社会の冷たい素材だと思っていて、そういうストレスに疲れた人間が木の空間に入ると、ふわーっと安らぎを感じる。木を使うことでそこだけは別世界だってことが作れるんじゃないかなと思って」(建築家 隈研吾さん)

 そのこだわりの木は、東京・新木場にありました。古くから「木材の町」として知られています。90年前から続く町工場で、木のトンネルに使う木材の加工が行われていました。

 「これが図書館で使われるアコヤという木なんですが、これはニュージーランドの植林の木です」(細田木材工業 細田悌治社長)

 アコヤとは、マツなどに特殊な加工を施したもの。雨風にさらされても腐敗しにくく、曲げにも強いのが特徴です。

 「(トンネルのような)難しい加工でも木材で作れるんだということが皆さんの目に触れてわかるようになって、木材の良さを楽しんでもらえたらと思う」(細田木材工業 細田悌治社長)

 しかし、実物大の模型を組み立ててみると、想定外のことが起きたのです。

 「アコヤの存在感が思ったよりない。アコヤの幅が狭すぎて、このパイプに比べて。主従逆転している感じだね」(建築家 隈研吾さん)

 肝心の木の存在感が土台である鉄骨パイプに負けてしまっていました。隈さんは、鉄骨が隠れるよう木を留める位置をずらすなどして印象を変えられないかと考えました。木の存在感、うまく引き出せるでしょうか。

 工事が進んでいく図書館。トンネルの鉄骨が組み立てられていき、長さが異なる木を1本1本、位置や角度を調整しながら留めていきます。

 「これだけは曲がっているから直そう」(工事関係者)

 外壁と接する鉄骨は壁と同じ白に塗り直し、より木が強調されるようにしました。そして4か月後。

 「お、だいぶできてきたな」(建築家 隈研吾さん)

 完成間近の木のトンネルを自分の目で確かめます。

 「存在感思った以上にすごいな。存在感すごいっす」(建築家 隈研吾さん)

 仕上がりに、ほっとした様子です。

 図書館のもう一つの目玉となるのが本棚です。村上さんの小説にも度々登場する北海道・旭川市。ここで本棚は作られていました。

 「大体このサイズで4分の1ぐらい。高さが半分ぐらい。北米産のホワイトオークという木材を使用しています。木目も美しいし木材自身の強度、ねばりもある」(いさみや 関口洋平社長)

 本棚の板は丁寧に磨かれ、先端に行くほど薄くなっています。

 「本棚の先端が薄くて、ほとんど物質としての存在感がないようにしたくて。そこに本が主役として存在するような、本棚は物質として消えていって本だけは残るみたいな。そのためのディテールを考えた」(建築家 隈研吾さん)

 本棚には、村上さんの作品や翻訳された本などが収められます。

 「普通の図書館の機能的に並べれば良いという本棚とはちょっと違うんですよね」(建築家 隈研吾さん)
 「どのあたりが違うところ?」(小川彩佳キャスター)
 「まず上の方の本は取りにくいしね。村上さんの世界は、僕らがふわーっと本の世界で取り囲まれているという感じを作るために本棚を天井まで繋げていったので、そこで実際には手に届かない本もある。でもそれが僕らの世界というのが手に届いてすぐ読める本もあるし、読めない本もあるし、というのは僕らの世界そのもののような気もしているんですけどね」(建築家 隈研吾さん)

 隈さんのこだわりは、こんな細かい部分にも。

 「トイレのサイン。普通のサインと違ってみんな歩いてこの中にふわ~って吸い込まれていくみたいな感じにデザインしたんです。普通の建物じゃ絶対やらないんだけど、初めてこういう見つけるサイン、見つけられるサインをやってみた」(建築家 隈研吾さん)

 トイレなどの表示は小さく、見慣れないものに。目を凝らすといろんな発見があるという村上ワールドを表現したのです。

 そして、完成した図書館。村上さんは4月1日、図書館について、こう話しています。

 「ライブラリーのモットーは、『物語を拓こう、心を語ろう』です。『心を語る』というのは簡単そうで難しい。僕らが普段、『これは自分の心だ』と思っているものは、僕らの心の全体のうちのほんの一部分に過ぎないからです。『物語』は僕らの意識がうまく読み取れない心の領域に光を当ててくれます」(村上春樹さん 早稲田大学入学式祝辞)

 「村上さんのファンとか研究者って世界中にいるので、そういう人たちの聖地になると同時に、ここにいると安らげるな、癒やされるなという、そういうことを思う学生たちにもここに集まってほしいし、ちょっとみんなの顔が見えて、話さなくて良いけどみんながいて、そういうコロナの時代の新しい公共空間、パブリックスペースの一つのモデルになればいいなと思っています」(建築家 隈研吾さん)
(9日17:03)

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