【解説】噴火の衝撃波が伝播し“津波”に? トンガ海底火山噴火で起きていたこと






TBS NEWSさんが、2022-01-17 08:54:15に公開した『【解説】噴火の衝撃波が伝播し“津波”に? トンガ海底火山噴火で起きていたこと』は、動画ニュースnetがYoutubeから厳選して紹介している動画ニュースです。

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☆タイトル:【解説】噴火の衝撃波が伝播し“津波”に? トンガ海底火山噴火で起きていたこと

☆投稿者:TBS NEWS

☆公開日:2022-01-17 08:54:15

☆視聴時間:7:17

☆視聴回数:73562



「このような現象は知らない」。気象庁が予想がつかなかったという、トンガの海底火山噴火による潮位変化。いったい何が起きていたのでしょうか・・・。今回観測した潮位変化のメカニズムについて、専門家は、空気中を伝わる衝撃波の影響によるものではないかといいます。災害担当解説委員の福島隆史記者と考えます。

■なぜ?“津波”到達後に津波警報

日比麻音子キャスター:
多くの方に避難指示も出ましたので、不安な夜を過ごされたと思いますが、改めて時系列で見ていきたいと思います。
今回噴火があったのはトンガ。日本から約8000キロ離れています。日本時間15日午後1時ごろ噴火がありました。そして気象庁からは、15日午後7時過ぎ、「国内で津波による被害の心配はない」といった発表があったわけです。ところが、約1時間後の午後7時58分、父島(小笠原諸島)に第一波、そして午後11時55分、鹿児島・奄美市に潮位1メートル20センチの変化が観測されました。その後、16日午前0時15分、ここで津波警報・注意報が発表されたということになります。ですから噴火からは約12時間経って、警報・注意報の発表ということになったわけです。
その後、16日午前2時に気象庁の会見がありました。この会見で気象庁の担当者は「今回の潮位変化は、地震に伴い発生する通常の津波と異なる。どういう経過をたどるのか予想がつかなかった」と話しました。今回の件に関して「このような現象は知らない」こういった発表があったわけです。

井上貴博キャスター:
通常の津波とは異なるが、注意・警告を呼びかける上では現在の津波警報・津波注意報の枠組みで発表するしかない。そういう流れで話が進んでいったと考えればいいでしょうか。

福島隆史 TBS解説委員(災害担当):
広い意味で、津波というのは地震に限らず、火山の噴火や海底の地滑りによって起きますが、もっぱら気象庁がターゲットとしている津波は、地震によるものです。実際に観測された値を見ていくと、15日午後8時ごろに、まず父島で津波の観測をしました。これは気象庁の予測からすると、2時間半も早く観測して、これでまず気象庁は戸惑ったと思います。おまけに、通常は観測されないはずの気圧の変化も若干ではありますが観測されて、一体これは何なのか。通常の自分たちが処理している津波と同じことが起きていると考えていいのかどうか、ここで戸惑いが生まれたと思います。ですから、実際に1.2メートルもの津波を、鹿児島で観測して、初めて津波警報を出したという形になるわけですよね。

井上キャスター:
そうなると、これまでわからなかったことがこうやって起きた。今回のことをデータ解析していくことで気象庁としても今後に備えられるということになるわけですか。

福島解説委員:
はい。すぐにはできないかもしれませんが、地震ではないケースで津波が発生するという場合に、どういう情報発表の仕方をしていくのか、伝え方をしていくのか、まずそこに検討の余地があると思います。

井上キャスター:
気象庁の会見で個人的に感じたのが、“わからない”という言葉のメッセージ性の強さといいますか「プロの集団の皆さんでもわからないことがこれだけある」ということは何か危機感を共有できた。あそこを曖昧にせずにわからないと言ってくれたことがすごくメッセージとして届いたなというふうに感じたんですが。

田中ウルヴェ京 メンタルトレーニング指導士:
本来、科学ってわからないことだらけ、だからこそ専門家がどれだけ、ここまではわかりここから先は全くわかりません、と言ってくれることが本来専門家の方々の役目なので、「わからない」と言ってくれると、もちろんわからないわけですから、なんともないということもあるでしょうし、最悪の事態はあるのだろうな。だから私達ができることは何かって、我々が選択できますよね。そこは本当に大事な情報の一つです。「わからない」という情報は大事なんですよね。

■衝撃波が伝播して津波に?

日比キャスター:
今回の現象ではどういったメカニズムが考えられるのでしょうか。東北大学災害科学国際研究所の今村文彦教授によりますと、今回は空気中の衝撃波が伝播して津波のような現象になったのではないかといった見方をしています。
今回海底火山で噴火が起きました。そして、それによって空気が一瞬で押されて衝撃波ができます。空気の層のようになって、気圧が高く、密になったところができたそうです。この空気の層の影響で、海面が押されたということになります。
空気の層は動いていき、伝播していくわけですね。この伝播に伴って、先ほど押されていた部分が、また戻ろうとする復元力がある。これによって、結果として、津波のような波ができたのではないかという見方ですね。

こういった衝撃波の影響は、実は日本列島の気圧の変化にも見ることができます。改めてトンガと日本の位置ですが、トンガは日本から約8000キロ離れた南東に位置しています。衝撃波が伝わるとなれば、日本の方向に向かう、ということを押さえた上で、気圧の変化を見てみると、15日午後8時から、日本全体の気圧が波のように激しく変化していたということなんです。この日本全体の気圧の変化においても、衝撃波の影響が出ているのではないかと見ることができるわけです。

井上キャスター:
8000キロ離れていてもこういったことが起こるんですね。福島さんはどういったところにポイントを置いているかを教えてください。

福島解説委員:
私は科学者ではないのでメカニズムについての詳細を考察する立場にないですが、今回、気象庁が言うような「津波だったかどうか」というのは、防災上はあまり大きな意味を持たないと思います。目の前に命の危険が迫るような潮位の変化が実際にあったわけですから、これは普段の津波に対する備え、一目散に少しでも高いところへ逃げて安全を確保する。この行動自体は何ら変わることがなかったと思っています。そこがやはり一番重要だろうと思います。

井上キャスター:
科学者の方はきっと津波なのかどうか、これから検証が求められると思いますが、我々一般の感覚から言うと、水の塊が襲ってくる、押し寄せてくるということは全く変わりがない。だからこそ、私達が身を守るためにすべきことも変わらないといった考え方でいいわけですね。

福島解説委員:
ですから津波警報・注意報を気象庁が出したという選択も本当に正しかったと思います。

井上キャスター:
奇しくも1月17日は阪神淡路大震災発生から27年でした。何か防災というものを常に考えなければならないということも含めてどんなことを感じていますか。

田中ウルヴェ京さん:
自然というものはとても素晴らしいものであり、そして私達にとっては危機だということはもう当たり前のことですよね。私達は島国に住んでいる、海に囲まれている素晴らしい国だということなので、そのことの裏という意味では私達はやっぱり気をつけないといけないことがたくさんある。本当に潮位が上がるということには今すごく腑に落ちましたよね。そもそも私達は「潮位が上がれば危険はある」ということをしっかり守っていきたいですよね。自分たちの命は自分で守らないと。(17日17:25)




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